コーヒーの代表的な成分と言えば「カフェイン(caffeine)」。カフェインは眠気覚ましの効果を始め、疲労軽減やリラックスといった様々な効果があり、エナジードリンクや眠気覚まし用ガム、医薬品など多岐にわたって活用されている成分です。私たちの生活にはとても身近で、日々眠気と戦いながら勉強や仕事を頑張る人には欠かせない成分。
そんなカフェインはコーヒー一杯にどのぐらいの量含まれているか、そしてその効果や持続時間、上限摂取量などをまとめて紹介していきます。コーヒーの特徴的な成分であるカフェインについて詳しく知りたい方は是非参考に。
カフェインとは
カフェイン(caffeine)とは、コーヒー独特の苦味成分です。植物性アルカノイドの一種で、植物であるコーヒーノキが昆虫から身を守るために作る物質のため、強い苦味を持つのが特徴です。その苦味は、現在多くの人が愛するコーヒーの代表的な味わいの一つとなっています。
カフェインは、コーヒー豆だけではなく茶葉、マテ茶、カカオナッツ、ガラナナッツなどにも含まれていますが、世界で初めに発見されたのはコーヒーから。1819年ドイツの化学者であるルンゲが発見しました。そのため、カフェインは、コーヒー(coffee)を意味するカフェ(cafe)という言葉が名前の由来となっています。もし、茶葉(Tea)から先にカフェインが見つかっていたら、その名称はテイン(teine)になっていたと言われています。
コーヒー一杯に含まれるカフェイン量
カフェイン量:約60mg/100ml
一般的なドリップコーヒー(コーヒー粉10gを熱湯150mlで抽出)のカフェイン含有量は、日本食品標準成分表2015年版によると100ml当たり約60mgです。
これを一般的なマグカップ(250ml)一杯分に換算するとコーヒー一杯当たりのカフェイン含有量は150mgとなります。マグカップでコーヒー二杯でカフェイン300mg、コーヒー三杯でカフェイン450mg、コーヒー四杯でカフェイン600mgとなります。
また、スターバックスコーヒーで考えるとショートサイズ(240ml)はカフェイン144mg、トールサイズ(350ml)はカフェイン210mg、グランデサイズ(470ml)はカフェイン282mg、ベンティサイズ(590ml)はカフェイン354mgとなります。
コーヒーだけじゃない!カフェインは他の飲み物にも多く含まれる
飲み物 | カフェイン量 (100ml当たり) |
コーヒー | 60mg |
玉露 | 160mg |
番茶 | 10mg |
せん茶 | 20mg |
玄米茶 | 10mg |
紅茶 | 30mg |
ウーロン茶 | 20mg |
コカ・コーラ | 9.6mg |
レッドブル | 43.2mg |
カフェインの効果
効果①眠気覚まし
コーヒーに含まれるカフェインの代表的な効果と言えば、「眠気覚まし」です。
カフェインは、睡眠物質と呼ばれる‟アデノシン”の働きをブロックする特徴があります。アデノシンは、脳を興奮させる脳内物質ドーパミンやノルアドレナリンの分泌を抑える特徴があります。さらに覚醒物質であるヒスタミンの放出を抑える特徴もあり、それらによって眠気を誘発するのです。しかし、カフェインはそのアデノシンの働きを阻害するので、カフェイン入りのコーヒーを飲むことで眠気を吹き飛ばす効果が期待出来るというわけです。
朝の目覚めの一杯、眠くなりやすい昼食後の一杯、そして長時間の運転時の一杯などにコーヒーを飲むのが効果的です。
効果②集中力アップ
カフェインは集中力を高める効果も良く知られています。
カフェインは脳を覚醒させ、注意力や集中力を高めるといった効果があることが分かっています。欧州食品安全機関EFSAはカフェイン摂取による認知機能(集中力や注意力など)の向上に科学的根拠があることを認め、カフェインの食品機能性の表示の一つとして許可しています。
仕事や勉強中に集中力を上げたいと思った時にもカフェイン入りのコーヒーを飲むのが効果的です。
効果③リラックス
カフェインはリラックス効果もあります。カフェインを多く含む食品として長く世界中の人々に愛されてきたコーヒー。一杯のコーヒーを飲むだけでリラックスできるのは多くの人が今までのブレイクタイム(コーヒーブレイク)の中で実感しているはず。
効果④運動パフォーマンス向上
カフェインの意外な効果として、運動パフォーマンスの向上があります。特に持久系スポーツにおいてカフェインを摂取することで、パフォーマンスの向上が期待出来ます。実際に持久系スポーツのエネルギー補給食であるエナジージェル飲料には多くの場合カフェインが成分の一つとして配合されています。
なぜカフェインが運動パフォーマンスに影響するのか。その理由は、疲労感の軽減にあります。カフェインを摂取して、体を休息モードへと切り換える睡眠物質アデノシンの働きをブロックすることによって、体がしっかりと働くようになり疲労感が溜まりにくくなり、結果的にパフォーマンスに良い影響をもたらすというわけです。
カフェインの効果の持続時間
コーヒーを飲んでカフェインの効果が期待出来るようになるのは、飲用後20~30分後から。仕事や勉強でしっかり集中したい、運動パフォーマンスアップのために飲みたいという場合は、それらの30分前ぐらいを目安に飲むのがオススメ。
また、カフェイン効果の持続時間は4~5時間程度。カフェイン摂取後に血中濃度がピークを迎え、そこから次第にカフェイン量が減っていき半減に至るまでが大体4~5時間。そこでカフェインの効果を感じなくなる人もいればまだ効果を実感する人もいます。さらにカフェイン量が半分となる半減期はかなり個人差が大きいので、カフェインの効果を実感出来る時間も個人差が大きく、4~5時間はあくまでも目安として捉えておくのが良いでしょう。
カフェイン摂取が逆効果となる場合も!
逆効果①夜眠れなくなる
カフェイン摂取は良いことばかりではありません。例えばカフェイン摂取が逆効果となってしまう例が、夜遅くにコーヒーを飲んでしまい眠れなくなってしまうことです。カフェインは覚醒作用があり、睡眠物質であるアデノシンの働きを阻害してしまうため、夜のカフェイン摂取には注意しておく必要があります。
カフェインは摂取後個人差はあるものの半減期になるのに4~5時間かかります。そのため最低でも寝る3~4時間以内にはカフェインは取らないようにしましょう。理想は、18時を過ぎたらもうカフェインは摂らないこと。
逆効果②トイレが近くなる
長距離運転や長時間の移動、会議、試験等でなかなかトイレに行くことが出来ない場面ではカフェインの摂取は控えておくのがオススメ。その理由は、カフェイン摂取によってトイレが近くなってしまうためです。
カフェインは利尿作用があり、カフェイン入りの飲み物を飲むといつもよりもトイレが近くなってしまいます。これから長い時間トイレにすぐにはいけないというシチュエーションではカフェイン入りの飲み物を飲むのが控えておいた方が良いです。
カフェインの摂り過ぎには要注意
コーヒーの特徴的な成分であるカフェインは、眠気覚ましや疲労感軽減といった効果が期待出来る成分。そのため、眠気覚ましのガムやドリンク、持久系スポーツ向けのエナジージェル飲料などの有効成分としても使われています。また、覚醒作用はもちろん解熱鎮痛作用があり、さらに倦怠感、頭痛に対する効果も期待出来るということで多くの医薬品にも使われている成分です。カフェインが身近な飲み物や食品、医薬品など多くのものに使われているのは、作用がマイルドで副作用が起こりにくい安全な成分だからです。
しかし、安全性の高いカフェインであっても一度に大量に摂取してしまうと、心拍数増加・吐き気・めまい・震えといったカフェイン中毒の症状を引き起こす可能性があります。さらには、多量のカフェイン飲料の摂取、カフェイン錠剤の服用で心停止となる、最悪の場合死に至る危険性もあるためカフェインといっても侮ってはいけません。
一日当たりの最大摂取量の目安
対象 | 1日摂取量上限 |
成人 | 400mg |
妊婦 | 300mg |
子供 | 2.5mg/kg当たり |
カフェインの過剰摂取とならないために絶対に守っておきたいのが、カフェイン上限摂取量。日本では現在のところカフェイン上限摂取量の目安は設定されていませんが、カナダ保健省が「カフェインの安全な摂取基準値に関する情報提供」の中で定めた1日400mg未満という基準値が世界的なスタンダードとなっています。マグカップ(一杯250ml)の場合、2~3杯が目安となります。
また、カフェインの致死量は体重60kgの人では大体7.8g(7800mg=150mlのコーヒーカップ52杯分)と言われています。コーヒーを飲むだけではなかなかその数値には届きませんが、カフェイン入りの錠剤などを多量に服用すると致死量に届いてしまう可能性があるため、錠剤の多量摂取には十分に注意が必要です。
妊娠中・授乳中はカフェイン摂取は控えるのがベスト
- カナダ保健省:300mg未満/日
- 欧州食品安全機関:200mg未満/日
- 英国食品基準庁:200mg未満/日
妊娠中の女性でもカフェインを摂取することは可能です。カナダ保健省では1日300mg未満、欧州食品安全機関と英国食品基準庁では1日200mg未満であれば妊娠中の女性でもカフェインを摂取しても安全性の懸念は生じないとしています。そのため、1日マグカップ1杯のコーヒーであれば問題ないということ。
ただし、妊婦さんの体質や体形による個人差もあるため一概にマグカップ1杯までのコーヒーであれば絶対に大丈夫というわけではありません。カフェインによる弊害は流産・早産、低体重児・低酸素状態、発達障害などと多く、基本的には妊娠中はカフェインは避けておくがベターです。習慣的に飲むのではなく、たまに気分転換として一杯のコーヒーや紅茶を飲む、またはカフェインレスコーヒーやティーを飲むといった工夫をするのがオススメです。
また、妊娠中だけではなく授乳中もカフェインが赤ちゃんに与える影響はあるので、授乳中もカフェイン摂取は出来るだけ控えておいた方が良いです。
子供のカフェイン摂取量にも要注意
- 4~6歳児:1日45mg未満
- 7~9歳児:1日62.5mg未満
- 10~12歳児:1日85mg未満
- 13歳以上:1日2.5mg未満/体重(kg)あたり
子供のカフェイン摂取量にも要注意です。子供に大人と同じように同じだけのカフェイン量を与えてはいけません。子供の脳は未発達のためカフェインを大人と同じだけの量摂取すると危険です。3歳まではカフェインの摂取を控えさせ、4歳からは上記の基準値(カナダ保健省が定めたもの)を守るようにしましょう。
カフェインを正しく理解して、コーヒーを飲もう
カフェインは基本的には安全性の高い成分です。よほどの量を一気に摂取しない限り健康上問題になることはありません。カフェインは眠気覚ましや疲労感の軽減、リラックス効果といった嬉しい効果を得られるとても嬉しい成分です。コーヒー一杯飲むだけで心が落ち着き、仕事や勉強、そして運動にも良い影響を与えます。カフェインを安全に摂取するためにも正しくカフェインを理解して、美味しくコーヒーをいただきましょう。