コーヒー豆の焙煎度合い全8種類の特徴と自宅で焙煎する方法

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コーヒー豆の焙煎

コーヒー特有の香りと味を引き出すのが「焙煎」。生豆を高温で煎ることで、豊かな香りが生まれ、旨味、酸味、苦味、コクといった味わいが出るようになります。また、焙煎度合いにより、風味は大きく変わってくるので浅煎り豆、中煎り豆、深煎り豆で同じ銘柄の豆であっても印象は大きく違ってきます。

この記事では、コーヒー豆の焙煎とはどんなもの、焙煎度合いによる風味の違い、そして自宅で焙煎する方法等を紹介しています。焙煎度合いによる味の違いや、自宅での焙煎に興味がある方は是非参考に。

コーヒー豆の焙煎とは

焙煎コーヒー豆

コーヒー豆の焙煎(ばいせん)とは、コーヒーの原料である生豆を炒る加熱作業のことです。コーヒーノキの果実の種子として収穫・精製された生豆は、そのままでは飲むことは出来ません。生豆は白く薄緑色で、香ばコーヒーらしい香りも味もありません。生豆を200度前後の高温で加熱することで生豆中の成分が化学変化を起こし、豆の色は茶褐色、黒褐色へと変化し、コーヒーらしい香ばしい香り、酸味や甘味、苦味といった味を出すようになるのです。

ちなみに私たちがコーヒーショップやスーパーで購入する豆やレギュラーコーヒー(粉)は当然、焙煎所で焙煎した後の焙煎豆です。店頭で生豆を販売しているところは少なく、焙煎に興味があり生豆が欲しいという方は取り扱いの多い専門店や行くか通販で購入する必要があります。

コーヒー豆の焙煎で起こる3つの化学変化

焙煎機で焙煎したコーヒー豆

コーヒーの生豆は焙煎中に化学変化を起こすことで、美味しいコーヒーを抽出出来る焙煎豆となります。焙煎中に豆内に含まれる成分が起こす化学変化は、大きく「分解」「メイラード反応」「カラメル反応」の3つ。

①分解

焙煎の初期段階で起こる化学変化が「分解」です。生豆を加熱すると約100℃あたりで、豆に含まれるショ糖が熱分解を起こし、クロロゲン酸が加水分解を起こし、クエン酸やリンゴ酸、キナ酸、コーヒー酸といった有機酸が生成されます。これら有機酸はコーヒーの重要味覚の一つ‟酸味”の元。浅煎り豆は酸味が強いのが特徴ですが、これら浅煎り豆の酸味は焙煎によって生成される有機酸による酸味です。

②メイラード反応

焙煎の中期段階で起こる化学変化が「メイラード反応」です。メイラード反応とは、食品中に含まれる糖とアミノ化合物が加熱されることで、メラノイジンという褐色物質を生み出す反応のことです。155℃あたりでメイラード反応は顕著に表れ、コーヒー豆本来の茶色っぽい色へと変色し、さらに香ばしい風味を醸すようになります。メイラード反応によってコーヒー豆らしい色となり、コーヒー豆特有の豊かな香りが生まれるというわけです。

③カラメル反応

焙煎の後期段階で起こる化学反応が「カラメル反応」です。カラメル反応とは、食品中に含まれる糖が加熱されることで褐色物質であるカラメルが出来ることです。160~200℃でカラメル反応が起き、コーヒー豆はより濃い色の茶色、そして黒に近い茶色へと変化していきます。そして香ばしい香り、カラメル特有の苦味を持つようになります。深煎り豆は苦味が強いのが特徴ですが、それは糖のカラメル化による苦味です。

コーヒー豆の焙煎度合い全8段階の特徴

焙煎度合いの異なるコーヒー豆

コーヒー豆の焙煎度合いは、大きく浅煎り豆・中煎り豆・深煎り豆の3種類。短い時間で浅く煎った豆は、酸味は強く苦味は少なく、色は薄いのが特徴。長い時間で深く煎った豆は、酸味は少なく苦味が強く、色は濃いのが特徴。焙煎度合いによって同じ銘柄のコーヒー豆でも抽出した時に出来上がるコーヒーの香りや味わいに大きな違いが出てくるため、コーヒーショップでは複数の焙煎度合いから好みのものを選べるようになっています。また、アメリカ式ではさらに焙煎度合いを浅い順番からライトロースト・シナモンロースト・ミディアムロースト・ハイロースト・シティロースト・フルシティロースト・フレンチロースト・イタリアンローストの8段階に分けることが出来ます。

ライトロースト

ライトローストの豆

コーヒーの焙煎度合いで一番浅いのが「ライトロースト」。ライトローストは、黄色がかった小麦のような色で、焙煎豆の中では色は一番薄い。コーヒー特有の香りは弱く、苦味や甘味、コクもほとんど感じられず、酸味だけがとても強いのが特徴。ライトローストは一般的に美味しくないとされる焙煎度合いで、ほとんどのコーヒーショップでライトローストは取り扱っていません。ただし、ライトローストは豆本来の風味を感じられるということでコーヒー界のサードウェーブのトレンドに乗りスペシャルティコーヒーで飲まれる動きも少しずつ出てきました。

シナモンロースト

シナモンローストのスペシャルティコーヒー

2番目に浅い焙煎度合いである「シナモンロースト」。ライトロースト同様に浅煎り豆にあたります。シナモンローストは、香辛料であるシナモンのようなキツネ色。ライトロースト同様に、まだまだコーヒー特有の甘味、苦味、コクは感じられず酸味が強いのが特徴で、一般的にはほとんど飲用されることはありません。しかし、高品質のコーヒー豆をシナモンローストで焙煎すれば、豆本来の果実由来である柑橘系の風味を味わえるということでスペシャルティコーヒーで使われることがあります。品質の良い豆では口当たりが軽く、スッキリとした味わいを楽しむことが出来ます。

ミディアムロースト

ミディアムローストで淹れるコーヒー

3番目に浅い焙煎深度の「ミディアムロースト」。ミディアムローストは中煎り豆。一般的に飲用されることが無いライトローストとシナモンローストを除くと一番焙煎度合いが浅いということで、浅煎りの代表的な焙煎度合いともいわれています。

ミディアムローストは、豆本来の風味とともに柑橘系の酸味を感じられる焙煎度合い。豆本来の風味をそのまま引き出すことが出来るため、特にブルーマウンテンやハワイコナを始め高価な銘柄のコーヒーを淹れる時の定番の焙煎度合いとなっています。また、アメリカンもこのミディアムローストの豆を使っています。ミディアムローストは豆の良さをそのまま引き出せる反面、豆の悪いところもそのまま出してしまうため、一般的な豆ではなく高品質な豆を中心に使われる焙煎度合いです。

ハイロースト

ハイローストのコーヒー

4番目の焙煎度合いである「ハイロースト」。ハイローストは最もポピュラーな焙煎度合いです。喫茶店で提供されるドリップコーヒー、家庭で飲むレギュラーコーヒーの多くはハイロースト。ハイローストは、酸味、甘味、苦味、コクといったコーヒーが持つすべての面においてバランスのとれた味わいが特徴。深煎り豆に比べると酸味がやや強く感じますが、それでも多くの人に受け入れられやすい味わいです。またどんな銘柄でも比較的美味しく淹れることが出来ます。

シティロースト

エスプレッソを淹れる

5番目の焙煎度合いである「シティロースト」。シティローストはハイロースト同様にバランスのとれた味わいで、多くのシーンで使われる焙煎度合いです。ハイローストに比べると酸味は抑えめで、やや苦味やコクが強調されるようになります。そのためあっさりとしたコーヒーや酸味を感じるコーヒーよりも苦味やコクのあるコーヒーが好きという人にオススメ。また、苦味とコクを引き出すことが出来るので、エスプレッソにも使われています。

フルシティロースト

フルシティローストで淹れたエスプレッソ

6番目の焙煎度合いである「フルシティロースト」。フルシティローストは、本場イタリアでエスプレッソに使われる定番の焙煎度合いです。エスプレッソは濃いコーヒーなので、しっかりと苦味やコクを出せる焙煎豆が合っています。また、酸味や甘味などのバランスもとれたエスプレッソこそ美味しい本物のエスプレッソと言われるので、フレンチローストやイタリアンローストではなくフルシティローストが本場ではよく使われています。

フレンチロースト

フレンチローストで淹れたカフェラテ

7番目であり深煎り豆(極深煎り豆)である「フレンチロースト」。フレンチローストは、強い苦味とコクが特長。存在感のある味わいなので、ミルクやクリームを入れても負けないということでカプチーノやカフェラテ、カフェ・オレといったアレンジコーヒーによく使われる焙煎度合いです。スターバックスを始めシアトル系コーヒーショップでは、フレンチローストの豆がよく使われています。また、アイスコーヒーに使用する焙煎豆としても定番です。

イタリアンロースト

イタリアンローストで淹れた濃いめのアイスコーヒー

一番深い焙煎度合いである「イタリアンロースト」。イタリアンローストは、ほぼ黒に近い色味。とても苦味が強く、コクもあり濃厚な味わいが特徴です。イタリアンローストは砂糖やミルクを入れて飲む前提の濃いめのアイスコーヒーに良く使われる焙煎度合いです。

コーヒー豆は自宅で焙煎してみるのがオススメ

焙煎豆のコーヒー豆

コーヒー豆は自宅でも簡単に焙煎することが出来ます。そのため一度生豆を買って家で焙煎してみるのがオススメ。自家焙煎することは面倒に感じますが、実はとてもメリットが多いのです。

理由①安い

自宅で焙煎するのをオススメする理由の一つは、安く済むこと。焙煎豆よりも生豆の方が安く手に入るので、とても経済的です。

理由②長期保存出来る

さらに生豆は焙煎豆と違って常温で長期保存が可能です。焙煎豆は長くても常温で1カ月が限界ですが、生豆なら3年ぐらい保存することが出来ます。

理由③鮮度の高いコーヒーを飲める

自宅で焙煎することで鮮度の高いコーヒーを飲むことが出来ます。通常お店で買う焙煎豆は焙煎してからそれなりに日数が経っているため鮮度が落ちてしまっています。自宅で焙煎すればかなり鮮度が高く、風味のしっかりした本物の美味しいコーヒーを飲むことが出来ます。

自宅でコーヒー豆を焙煎する方法

コーヒー豆

用意するもの

  • 生豆
  • 手網
  • 軍手
  • ガスコンロ
  • ザル
  • ドライヤー

手順

①ハンドピック

最初に生豆を良い豆と悪い豆を選別するハンドピックという作業をします。悪い豆というのは欠点豆のことで、虫食い豆やカビ豆、死豆といったものを取り除きます。これら欠点豆が混じっていると焙煎のムラの原因となったり、コーヒーを淹れた時の雑味やえぐみの原因となってしまうためです。高品質と言われるスペシャルティコーヒーでもある程度は欠点豆が混じっているので、最初にハンドピックを行いましょう。

②手網に豆を入れる

次に欠点前を取り除いた選別後の豆を手網へと適量入れます。

③中火にかける

ガスコンロの火を中火にし、火から15cmほど離し手網の中の豆を火にかけます。火が弱いと焙煎までに時間がかかり豆の風味が損なわれる可能性があり、また火が強いと焦げてしまう可能性があるため、火は弱火でも強火でもなく中火がベストです。

④手網をしたすら振る

手網を水平にし、ひたすら手網を前後左右に振ります。豆に焙煎のムラが出来ないように手網の中で豆が動くようにしっかりと手網を振り続けます。もし、火が強いと感じたらガスコンロの火を直接調整するのではなく、手網の位置を高くしたり、低くしたりして調整します。

⑤1ハゼ

手網を3~5分程度振っていると、「パチパチ」と豆が爆ぜる音がし始めます。これが「1ハゼ」と呼ばれるもの。もし、浅煎りにする場合は1ハゼの開始タイミング、または1ハゼの途中で煎るのを止めます。中煎り、深煎りにする場合はそのまま振り続けます。

⑥2ハゼ

1ハゼが終わり、少しすると「チリチリ」という音がし始めます。これが「2ハゼ」と呼ばれるもの。2ハゼが始まったタイミングで煎るのを止めたら中煎り、2ハゼの終わりで煎るのを止めたら深煎りとなります。好みの焙煎度合いのタイミングで煎るのを辞めます。

⑦冷却する

煎るのを止めたらすぐに豆をザルに移しうちわやドライヤーを使って冷却します。短時間で冷まさないと余熱で想定した焙煎度合いよりも焙煎が進んでしまうのを防ぐためです。無事豆が冷めたら焙煎豆の出来上がりです。

煎り止めのタイミング

  • 1ハゼの始まり→ライトロースト
  • 1ハゼのピーク→シナモンロースト
  • 1ハゼの終わり→ミディアムロースト
  • 1ハゼの終わり~2ハゼの始まりの間→ハイロースト
  • 2ハゼの始まり→シティロースト
  • 2ハゼのピーク→フルシティロースト
  • 2ハゼの終わり→フレンチシティロースト
  • 2ハゼの終わり~炭化までの間→イタリアンロースト

焙煎度合いは1ハゼと2ハゼのどのタイミングで煎るのを止めるのかによって変わります。好みの焙煎度合いにするために、1ハゼと2ハゼに注意し、煎るのを止めたら素早く冷却しましょう。

フライパンでも焙煎可能

フライパンでコーヒー豆を焙煎

コーヒー豆を自宅で焙煎する場合は手網を使うのが一般的ですが、フライパンを使って焙煎することも可能です。基本的なやり方は手網を使う時と同じで、フライパンを前後左右に振ったり、ヘラを使って豆を混ぜたりしながら火で煎ります。ただし、手網に比べると焙煎のムラは出来やすいので基本的には手網を使うのがオススメです。

焙煎した豆は直後に飲むのではなく2日程度置く

焙煎豆でコーヒーを淹れる

せっかく焙煎したコーヒー豆、焙煎直後にすぐにでも挽いてペーパードリップで淹れて飲みたくなりますが、そこは少し我慢して2日程度置いてから飲むようにしましょう。その方が、美味しいコーヒーを飲むことが出来ます。

焙煎したばかりの豆からは大量にガスが出ます。このガスはコーヒー特有の香りの元であり、コーヒーの劣化を防ぐためのものなのですが、焙煎したてはあまりにこのガスの放出量が多く、抽出時に邪魔になってしまいます。抽出の際、ガスが多いことで大きな泡が出来るのですが、この泡がお湯とコーヒーの粉の隙間に入ってしまい、お湯が粉に触れにくくなり上手くコーヒーの旨味成分を抽出出来ないのです。そのため、ある程度ガスが放出されるのが落ち着いた3日目ぐらいから飲むのがベストです。

自分好みに自家焙煎してみよう

焙煎したコーヒー豆

コーヒー豆を生豆から自宅で焙煎すればより好みのコーヒーを淹れることが出来ます。また、焙煎すること自体楽しく、よりコーヒーが好きになるので、是非コーヒー豆の焙煎に挑戦してみてください。

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