エスプレッソベースのコーヒーに砂糖やミルクを入れて飲むのが主流の世界で唯一日本だけが好んで飲むとされているブラックコーヒー。日本人の中でも苦くて飲めないという人も結構多いのですが、実はこのブラックコーヒーがダイエットや健康にとても効果的な飲み物なのです。その理由は、カロリーが少なく脂肪分解や健康効果の高いカフェインやコーヒーポリフェノールクロロゲン酸を多く含んでいるためです。
この記事ではブラックコーヒーがダイエットや健康面で最強な理由と、より健康面で効果的な飲み方を紹介しています。ブラックコーヒーのメリットや飲み方が気になる方は是非参考に。
ブラックコーヒーとは
ブラックコーヒー(Black Coffee)とは、スチームミルク(温めたミルク)やフォームミルク(泡立てたミルク)といった牛乳、主に植物油脂で作られるコーヒーミルク(コーヒーフレッシュ)を入れていないコーヒーのことです。
一般的にはブラックと言えば‟砂糖もミルクも入れていないコーヒー”を指しますが、日本の公正取引委員会が定めた「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約および施行規則」の中では、ブラックコーヒーは‟乳製品又は乳化された食用油脂を使用しないもの”と定義付けされています。そのため、厳密には砂糖を使っていてもブラックはブラックで、ミルクを使っているかいないかがブラックかどうかの違いとなるわけです。
ブラックコーヒーは基本的に日本だけの文化
ブラックコーヒーを飲むのは、基本的に日本だけです。
日本のコーヒーは、コーヒー粉の上からお湯を注いでコーヒーを抽出するドリップコーヒーが主流ですが、海外ではエスプレッソマシンを使ってドリップコーヒーよりも濃いエスプレッソを抽出するのが主流です。エスプレッソはとても濃いコーヒーのため、海外ではエスプレッソに砂糖をたっぷり入れて甘くして飲むのが主流。当然エスプレッソ本場のイタリアを始めヨーロッパ諸国もそうです。アメリカでもミルクを入れたりしてラテやカプチーノ、チョコレートシロップを入れてカフェモカなどアレンジを加えて飲むのが主流です。
エスプレッソに砂糖やミルクを入れて甘くして飲むのは、ブラジルなどのコーヒー産地でも同じ。海外でも最近は健康志向の高まりでブラックコーヒーを飲む人も増えつつありますが、それでもブラックコーヒーを当たり前のように飲むのはほぼ日本だけです。
ブラックコーヒーが最強な理由
①カロリーが少ない
世界の中で習慣的に飲むのは日本人だけと言っていいブラックコーヒー、実は健康面でとても最強のコーヒーなのです。その理由の一つは、他のコーヒーに比べて圧倒的にカロリーが少ないこと。
- ドリップコーヒー(ブラック):13kcal
- スターバックスラテ:138kcal
- カプチーノ:71kcal
- カフェモカ:254kcal
- キャラメルマキアート:136kcal
- ホワイトモカ:266kcal
上記はスターバックスのコーヒーメニューのShort(ショート)サイズの1杯あたりのカロリーです。いわゆるブラックコーヒーであるドリップコーヒーは1杯あたり13kcalで、カフェラテであるスターバックラテに比べるとカロリー量は約10分の1です。ラテメニューはミルクや砂糖を使っているためブラックコーヒーに比べるとかなりカロリーが高くなってしまうため、ダイエットのためにカロリーを抑えたいならコーヒーはブラック一択です。
②カフェインが多い
ブラックコーヒーがダイエットや健康面で最強である二つ目の理由は、カフェインが多いこと。エスプレッソベースのカフェラテやカプチーノの一杯あたりのカフェイン含有量は60mg前後ですが、ブラックコーヒーの場合は約90mg前後となります。
本来同じ100ml当たりのカフェイン量は濃いコーヒーであるエスプレッソの方が多くなるのですが、エスプレッソベースの飲み物は30ml程度しかエスプレッソは使わず後はミルクなどになるたためドリップコーヒー(ブラックコーヒー)よりも一杯当たりのカフェイン量は少なくなるのです。
カフェインは過剰に摂り過ぎると吐き気や頭痛、胃荒れといった健康に悪い側面もありますが、普通に摂取する分には眠気覚ましや集中力アップ、疲労感の軽減、リラックス効果といったメリットがたくさんある成分です。
③ポリフェノール「クロロゲン酸類」が多い
ブラックコーヒーが最強のコーヒーである三つ目の理由は、コーヒーポリフェノールであるクロロゲン酸が多く含まれていることです。クロロゲン酸は、赤ワインのアントシアニンやお茶のカテキン、ココアのカカオポリフェノールと同じく強い抗酸化作用のある植物由来のポリフェノールです。
クロロゲン酸は、今まで研究によって糖尿病や高血圧、がんの予防に効果が期待出来るとされている成分です。血糖値や中性脂肪、血圧の数値が気になる人はコーヒーを飲んだ方が良いと言われるのは、クロロゲン酸による効果を期待してのものです。
そしてこのクロロゲン酸は、熱に弱い特徴を持ちます。カフェラテやカプチーノのベースとなるエスプレッソは、長い時間じっくりと焙煎する深煎りの豆を使っているためほとんどクロロゲン酸を含んでいないと言われています。一方、ドリップコーヒーはエスプレッソよりも焙煎時間の短い浅煎りから中煎りの豆を使うため、クロロゲン酸が多く残っておりしっかりとコーヒーポリフェノールを摂ることが出来るのです。
ブラックコーヒーのダイエット効果
ブラックコーヒーは、ダイエットに効果的。その理由は、脂肪燃焼に効果があるとされているカフェインとコーヒーポリフェノールクロロゲン酸を他のコーヒーよりも多く含んでいるためです。そして、砂糖やミルクを使ったコーヒーと比べてカロリーはかなり少なくなるため、摂取カロリーを抑えられるという点でもダイエットにとても向いた飲み物です。
カフェインのダイエット効果
コーヒーに多く含まれる有名成分であるカフェインは、脂肪燃焼に効果的な成分の一つとされています。その理由は、脂肪分解酵素であるリパーゼを活性化させるため。カフェインを摂取することで体に蓄積している体脂肪の分解が進み、血液中にたくさん脂肪(遊離脂肪酸)が放出されその脂肪をエネルギーとして消費しやすくなるのです。
2019年6月24日に英科学誌サイエンティフィック・リポーツの中で英ノッティングガム大学が、「カフェイン(コーヒー)の摂取が体内の余分な脂肪を燃やす働きをする褐色脂肪細胞を活性化することで体重の減少へとつながる可能性がある」との研究結果を発表しています。
クロロゲン酸のダイエット効果
コーヒーに含まれるクロロゲン酸も脂肪燃焼に効果的な成分。クロロゲン酸は細胞内にあるエネルギー生産工場‟ミトコンドリア”への脂肪の取り込みを促進することで、エネルギーとして脂肪がたくさん消費されるようになるのを助け脂肪燃焼を促す効果があるとされています。
花王ヒューマンヘルスケア研究センター・ヘルスケア食品研究所と生物化学研究所による研究では、クロロゲン酸を含む焙煎コーヒーを12週間継続して飲むことで体重や体脂肪の低減が認められています。現在花王が発売するクロロゲン酸を多く含むヘルシアコーヒーは、脂肪の燃焼量を増加させる効果のある特定健康用食品(トクホ)として国から認可されているように、クロロゲン酸はダイエット効果がとても期待出来る成分です。
ブラックコーヒーの健康効果
ブラックコーヒーを飲むことは、ダイエット・脂肪燃焼はもちろんその他の健康面でも効果的。コーヒーは今までに全世界で様々な研究がされている飲み物で、多くの研究でコーヒーを摂取することで糖尿病や高血圧、メタボなどの生活習慣病の予防に効果が期待出来ると報告されています。
習慣的なコーヒーの摂取で死亡リスクが下がる
習慣的にコーヒーを摂取することで、死亡リスクが下がるとの研究結果が出ています。国立がん研究センター予防研究グループが1990年または1993年から2011年まで国内で実施した大規模な追跡調査によると、コーヒーをほとんど飲まない人に比べコーヒーを習慣的に飲む人は全死亡リスク、そして主要死因(心疾患・脳血管疾患・呼吸器疾患)死亡リスクが低いとの結果が出ています。この結果は、ブラックコーヒーに多く含まれるクロロゲン酸とカフェインが影響していると考えられています。
ブラックコーヒーが飲めない人必見!飲めるようになる方法
- 甘いお菓子と一緒に→慣れたらブラックだけで飲む
- 砂糖を入れて飲んでみる→少しずつ砂糖を減らし慣れたらブラックだけで飲む
- お湯で薄めて飲んでみる→少しずつ濃くしていき慣れたら普通に飲む
今現在ブラックコーヒーは苦くて飲めないけど、それを克服して飲めるようになりたいと思っている人も多いはず。ブラックは健康にいいし、飲めるようになればなんとなくカッコイイ。ブラックを飲めるようになるための方法は実はとても簡単。最初は甘いお菓子を食べる時に飲んでお菓子の甘さで苦味を中和したり、砂糖を入れて飲んでみたり、お湯で薄めて飲んでみたりと少しずつブラックコーヒーへと慣れるようにしていけばいいだけです。
やり方は色々ありますが、少しずつブラックコーヒーに慣れるようにしていくことでいつかブラックコーヒーを普通に飲めるようになります。今ブラックコーヒーを飲めている人も最初はきっと苦手だったはずです。それでも慣れでいつかは飲めるようになるので、慣れるようにちょっと頑張ってみましょう。
ブラックコーヒーをより効果的に飲む方法
①ドリップして飲む
ダイエットや健康のためにブラックコーヒーを飲むなら、より効果的に飲みたいもの。効果的に飲む一つの方法として、ドリップしたコーヒーを飲むのがオススメ。
ブラックコーヒーと言えばカフェ・喫茶店で飲む本格的なドリップコーヒーや自宅で自分でドリップして淹れたコーヒーだけじゃなく、インスタントコーヒーや缶コーヒーも思い浮かびますが、インスタントコーヒーや缶コーヒーはコーヒーポリフェノールであるクロロゲン酸が少ないのでちゃんとドリップしたてのコーヒーを飲むのがオススメです。
②コーヒー豆は浅煎り豆を選ぶ
自宅でコーヒー豆を挽いてドリップして飲むなら、コーヒー豆は浅煎り豆を選ぶのがオススメ。その理由は、中煎り豆や深煎り豆よりも浅煎り豆の方がたくさんクロロゲン酸が残っているためです。生豆は焙煎という過程が必要ですが、焙煎時間の長い深煎り豆ほど熱に弱いクロロゲン酸は含有量が少なくなっていきます。そのため、健康のために飲むなら浅煎り豆がベスト。
また、カフェや喫茶店でドリップコーヒーを頼む時は、ブレンドコーヒーよりアメリカンがオススメ。理由は、アメリカンは中煎りから深煎り豆を使用するブレンドコーヒーと違って浅煎り豆を使っているためです。
③砂糖やミルクは使わない
ダイエットのためにコーヒーを飲むなら、当然砂糖やミルクは入れないこと。コーヒー一杯(150ml)あたりのカロリーは6kcal程度ですが、砂糖とミルクを入れることで33kcalとカロリー量が5倍以上となってしまいます。特に1日に何杯もコーヒーを飲むという場合はそのカロリーの違いが1日の摂取カロリーに大きく影響するので、必ずブラックで飲むことを意識しましょう。
④ホットで飲む
ブラックコーヒーを飲むならアイスではなくホットで飲むのがオススメ。ホットコーヒーは、朝の眠気覚ましや仕事や勉強中の集中力アップ、休憩時のリラックス効果といった様々なメリットがあります。
さらに一番の理由はクロロゲン酸が多いから。アイスコーヒーは香りを良くするため、強い酸味を抑えるためにホットコーヒーよりも焙煎度の深い豆を使っています。そのため、ホットコーヒーに比べると摂取できるコーヒーポリフェノールの量が少なくなってしまう勿体ないです。暑い夏場を除き、喫茶店でホットかアイスか迷ったらホットを頼むのがオススメです。
⑤運動前に飲む
コーヒーはダイエットに良いとされていますが、コーヒーを飲むだけで勝手に痩せていくわけではありません。コーヒーの有効成分であるカフェインとクロロゲン酸はダイエットに良い成分ではありますが、脂肪分解を促進するだけです。分解された脂肪は血液中に放出されますが、エネルギーとして消費されないとまた体脂肪となるだけです。そのため、ダイエットを成功させるためには分解した脂肪をエネルギーとしてたくさん消費するために運動をすることも大切。
運動の30分から1時間前のタイミングでコーヒーを飲むことで、有酸素運動による脂肪燃焼効果を高めることが出来ます。ダイエットのためのウォーキングやジョギング、サイクリングなどをする前にコーヒーを飲んでみましょう。
⑥食事中に飲む
食事でのコーヒーの摂り方は、食事中に飲むのがオススメ。コーヒーポリフェノールであるクロロゲン酸は食後の急激な血糖値の上昇を抑えることで肥満予防に良いとされていますが、食事中にコーヒーを飲むことによって食後の血糖値の急激な上昇を抑えることが期待出来ます。
ブラックコーヒーの飲みすぎには注意
ブラックコーヒーは健康面でたくさんメリットがある飲み物です。ただし、1日或いは1回あたりにたくさん飲み過ぎると逆効果となってしまうので注意しておく必要があります。ブラックコーヒーはラテと違って糖質はほとんどありませんが、カフェラテやカプチーノといった他のコーヒーに比べると1杯あたりのカフェイン量は多いのでカフェイン中毒とならないように飲み過ぎには注意しておく必要があります。
日本ではカフェイン摂取量の上限の目安は設定されていませんが、海外では目安が設定されています。カナダ保健省によると、健康的な成人の場合はカフェイン摂取量が1日あたり400mg未満であれば健康上問題ないとされています。コーヒー一杯(150ml)あたりのカフェイン量は90mgなので1日4杯までなら問題ないことなります。また、妊婦の場合は1日あたり300mg未満なので1日3杯までが目安となります。
ブラックコーヒーを飲む習慣を始めてみよう!
ブラックコーヒーは飲み過ぎることがなければとても健康的な飲み物です。人気のカフェメニューであるカフェラテやカプチーノよりも格段にカロリーが少なく脂肪分解に良いとされるカフェインやクロロゲン酸も多く含まれています。健康を意識する人はこの機会にブラックコーヒーを飲む習慣を始めてみると良いでしょう。